HbA1cを歯周病治療で下げられるかー 広島スタディから
実際に歯周病の治療をするとHbA1c値が改善するかどうかが重要になります。
この課題に取り組んだ広島スタディという大変興味深い研究があります。平成25年に報告書が出ています。
歯周病を有している糖尿病患者に歯周治療を行い歯周炎を減少させることで、その血糖値が減少するかについて調査するのを目的とし、広島県歯科医師会と広島大学が主体となり13の糖尿病専門病院やクリニックが協力しています。
調査内容は、医科医療機関を受診している歯周病を有する糖尿病患者(総数434名)に対し歯周治療(160名)を行い、その前後のHbA1cと高感度CRPの変化を調べています。(対照として歯科未受診者118名)
結果の要点を以下に挙げていきます。
1)重度歯周病群では、
HbA1c値が、平均7.41%から7.02%まで有意な減少を認めた。
高感度CRPは治療前の38%まで減少。
2)軽度歯周病群では、
HbA1c値と高感度CRPはほとんど減少しなかった。
3)重度歯周病群において抗菌剤を併用した場合、よりHbA1c値と高感度CRPの減少が認められたが、軽度歯周病群に変化がなかった。
以上のことより、重度歯周病患者において歯周ポケットから全身への口腔内
炎症の影響が再認識され、まず、糖尿病患者の歯周病重症度を検査することが
とても重要であることが確認されました。また、軽度歯周病患者もその方の持
っている口腔内細菌の種類や環境により加齢により重症化する場合もあるの
で糖尿病における医科歯科連携の有効性を改めて痛感しました。