「お口の中の病気」
う蝕(虫歯)について
(う蝕に関する因子は6つ) パート2
2)3歳までに譲渡される微生物に関して
いろいろなところで述べていますが、地球上の多くの生き物が微生物と共生関係にあります。そのため、いかに次の世代に自分の持っている微生物を継承するかという問題は種の永続に必要となります。多くの微生物が宿主である大きな生き物にとって必要不可欠ですが、時としてある特殊環境下において必要不可欠な微生物が宿主に刃を向けることがあります。
虫歯にとっての反逆を起こす微生物は通性嫌気性菌のミュータンス菌とラクトバシラス菌(乳酸桿菌)です。この二つの菌は、元々微生物群の環境を微酸性状態に保ち悪い菌が多くならないように牽制する菌ですが、砂糖などを私たちが過剰に摂取すると歯を溶かすほどの酸を放出します。その結果虫歯が発生します。
ここで問題なのは、多くの場合母親から受け継ぐ微生物の銘柄の中に必ずう蝕原因菌が入っているかということです。答えはNOです。なので、もしミュータンス菌などを全く持っていない人は、歯を溶かす犯人がいないので歯が溶けることがないということです。(正確にいうと酸蝕症という病気があってコーラなどの酸性度の強い食品を継続的に摂取すると虫歯以外でも歯は溶けます!)これは、その人の運命であるかもしれませんが、ミュータンス菌をもらっていなければ、虫歯にはならず、多く持っている人はなりやすい。
歯の硬さと合わせてその運命を受け入れるしかありません。ただ、早くそれを知っていることが大切です。
う蝕原因菌の有無に関しては、調べる検査があります。こんな小さな微生物を歯科のクリニックで調べることができるなんて本当にいい時代になりました。