1)2つの遺伝因子に関して
さて、口腔内の疾患について考察してみましょう!
まずは、う蝕(虫歯)についてです。う蝕は、歯が溶けて穴があき進行すると神経が死ぬ(壊死する)疾患です。う蝕の発生に関する因子は遺伝因子が2つ、微生物因子が1つ、環境因子が3つあります。この6つの因子が複雑に関連しあってう蝕ができてしまいます。う蝕抑制にはその6つの因子の関係を知ることが重要になります。
遺伝因子は以下の2つになります。
1、歯の硬さ
2、唾液の能力
歯の硬さは、う蝕に関してはもっとも影響力の高い因子です。う蝕はミュータンス菌などの出す酸により歯が溶ける疾患ですが、歯の硬さの因子はそれぞれの臨界pH値の差に現れてきます。臨界pH値は歯の溶けるpH値になりますが、臨界pH値が高ければ(中性に近い)虫歯になりやすく、臨界pH値が低ければ(中性から遠い)虫歯になりにくいのです。これは個々により遺伝子として違うので、元々虫歯に全くならない人は臨界pH値が低く遺伝的にう蝕に対して守られていることになります。
唾液の能力も少なからずう蝕に影響を与えます。人によっては唾液の洗浄力や抗菌力、中和能力の力はとても高く、それだけでとても歯の表面がきれいになっている場合があります。なので乳児などで唾液の分泌が多いことは歯を守ることについてはとても役立っています。逆に高齢になったり薬剤服用により唾液分泌抑制が起こると急に虫歯が増えてくることがあるので注意が必要です。